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手紙のマナー

手紙を書く前に知っておきたいこと

親しい友人や気さくな間柄の方との手紙のやり取りでは、改めてマナーがどうのという話はないでしょうが、会社の上司や目上の方に出す場合、あまり礼儀知らずの手紙では、常識を疑われことにもなりかねません。ひととおりの形式は理解しておきたいものです。

手紙というのは基本的に

  1. 前文(書き出しの言葉+安否の挨拶)
  2. 主文(手紙の本題)
  3. 末文(終わりの挨拶+結びの言葉)
  4. あとづけ(日付+署名+宛名+敬称+わきづけ)
  5. 副文(追伸)

の5つの文章から成り立っています。

この構成は、長年にわたって磨き上げられ、完成したものですから、初めて手紙を書く人もこれに従って書けば、一応カタチの整った文章になります。無難な手紙や格式ばった手紙には、この定石が役に立ちますから、覚えておくとよいでしょう。文中で、相手の名前や敬称が行の一番下になる場合や二行に分かれるようなときには、失礼にならないよう次の行から書き始めるようにします。同様に、「私」が行頭にくる場合には、一字分下げて書くことになっています。

表書きは、楷書の読みやい字で

封筒の表書きは、まず読みやすいことが大切です。楷書でしっかり書くよう心がけましょう。郵便番号はきちんと赤枠の中へ、その下一字分くらい空けて宛先の住所、さらに一、二字分下げて中央部に宛名をちょっと大きめの字で書きます(宛先が二行になる場合には、宛名は、二行目より少し上から)。敬称は、「様」の他に、役職名を書くことがありますが、女性が書く場合には、すべて「様」でよいでしょう。また、便箋が一枚で終わったときには、何も書いていない白紙の便箋を一枚添える人がいますが、これは不要です。

封書の場合、差出人の住所は裏側に

封筒裏中央の継ぎ目を挟んで、右側に住所、左側に氏名を書きます。目上の人へ出す場合には、住所・氏名ともに継ぎ目の左側に書いて下さい。封をしたところには普通、「〆」や「封」と書きますが、お祝いの手紙でしたら、「寿」や「賀」と書くと趣があってよいでしょう。

知っていると便利な「忌み言葉」

手紙を書く場合、使うと相手に対して失礼になる言葉があります。いわゆる「忌み言葉」と呼ばれているものですが、お祝いの手紙では、「死ぬ」「滅びる」「切る」「別れる」「倒れる」「さびれる」「つぶれる」「落ちる」など。弔電では、「返す返す」「重ね重ね」「再び」等がそうです。これは結婚の場合にも「忌み言葉」として嫌われますから注意しましょう。

封筒、便箋とインクの色

慶弔いずれの場合にも、白の上質封筒と便箋を使用するのが最高とされています。インクの色は黒またはブルー系のブラック、筆で書くときには、お祝いは濃い墨で、不幸のときはちょっと薄めの墨で書きます。ただ、子供や親しい友人宛のお祝いなら、色つきや柄物を使用してもよいでしょう。

前書きと挨拶文の決まりごと

前文は必ず書かなければならないというものではありません。むしろ省いたほうがよいときがあり、書いたことが失礼にあたる場合もありますので、注意しなければなりません。

・前文を書かなければいけない手紙
  1. 目上の人への手紙
  2. 前文のある手紙に対する返事
  3. 日頃行き来することの少ない人、あるいは遠方にいる人への手紙
・前文を省略してもよい手紙
  1. 日頃行き来している人、および近くにいる人への手紙
  2. 前文のない手紙に対する返事
・前文を書いてはいけない手紙
  1. 死亡通知
  2. おくやみ状、病気・災害などのお見舞い状

また、前文を書くときには、時候の挨拶だけに終わらず、先方の安否を気づかったり、こちらの状態を知らせる文章を付け加えるのが通例です。「いかがお過ごしですか」「おかげ様でみな元気にしています」など、ちょっとした言葉で真心のこもった文章になるものです。

挨拶によく使われる語句

手紙の前文には決り文句というのがあります。その季節に合った言葉をその時々に考えるのも楽しいものですが、これが面倒に思われる方には、大変役立つものですから、覚えておくとよいでしょう。

異  名挨拶に使われる語句
1睦月、正月、端月、初月、祝月、謹月「厳寒の候」「本年はまた格別の寒さですが」「近年まれな寒さ」「今年の冬はいくらかしのぎやすく」
2如月、麗月、梅月、梅見月、初花月「春寒なお厳しく」「寒さもやや緩み」「立春の声を聞きますと、なんとなく春めいた気分に」
3弥生、花見月、桜月、嘉月「寒さも次第に緩み」「一雨ごとの暖かさ」「次第に春らしく」「日ごとのどかに」
4卯月、卯花月、鳥月、鳥来月、花残月「花の便りもしきりに」「すでに春も半ばを過ぎ」「桜花爛漫の候」
5皐月、佐月、早月、菖蒲月、早苗月「向暑のみぎり」「日はうららかに、風芳しく」「青葉若葉をわたる風芳しく」
6水無月、五月、雨月、葵月、旦月「梅雨の候」「若葉の節」「葉桜の陰も暗く」「若葉うるわしく」
7文月、婦月、七夜月、繭月「盛夏の候」「酷暑の候」「猛暑のみぎり」「一雨ほしい毎日」
8葉月、桂月、壮月「残暑厳しき折」「猛暑いまもって衰えませず」「めっきり虫の声もしげくなり」
9長月、夜長月、玄月、寝覚月「新秋の候」「清涼のみぎり」「一雨ごとに秋の気配が深まり」
10神無月、時雨月、紅葉月、良月「秋も深まってまいりました」「秋たけなわ」「天高く馬肥ゆるとき」「菊の香りも芳しく」
11霜月、菊月、雪待月、神楽月、神婦月「晩秋の候」「向寒のみぎり」「日ましに寒さも加わり」
12師走、極月、臘月、忙月「日ごとに寒さも深まり」「本年も残り少なくなり」「道行く人の足音も慌しい年の暮れとなり」

末文、結びの挨拶の決り文句

本文の後には、結びの挨拶を書くのが通例です。日常の会話や電話の場合にも、最後に「ではお大事に」とか「よろしくお願いします」などと付け加えますが、手紙の場合も同じように入れることになっています。手紙の種類によって内容が異なるので注意が必要です。

・主文の要約
「まず右まで」、「取り急ぎご返事のみ」、「右略儀ながらお手紙にてお祝い申し上げます」、「とりあえずご挨拶まで」、「まずは要件のみ」
・後で面会する場合
「いずれお目にかかりまして」、「近日参上致しまして申し上げます」
・後便を出す場合
「近々再びお便りを差し上げます」、「詳しくは後ほどお手紙費にて申し上げます」
・返事を求める場合
「折り返しご返事を頂きたく存じます」、「ご多忙中まことに恐縮でございますが、〇月〇日までにご回答を頂けましたら、うれしく存じます」、「ご迷惑とは存じますが、折り返しご返事を賜りたく」
・健康を祈る場合
「ご自愛のほどお祈り申し上げます」、「熱さ(寒さ)厳しき折、何卒お体を大切に」、「一層のご繁栄ご健康をお祈り申し上げます」
・伝言を頼む場合
「末筆ながらご主人様にくれぐれもよろしくお伝え下さいませ」、「皆様によろしくお伝え下さい」
・伝言を取り次ぐ場合
「主人からよろしくと申しております」、「姑からも厚く御礼申し上げるようにとのことです」
・陳謝の場合
「乱筆をお許し下さいませ」、「文脈が前後して見苦しゅうございますが・・・」、「当方の事情何卒お察しの上、お許し下さいませ」